コーヒーカップと一口に言っても種類がいろいろあり、容量の違いで分類されています。また形や素材、厚みなどによってコーヒーの味わいも違ってきます。
どのカップをどんなコーヒーの時に使えば、おいしいコーヒーが飲めるのでしょうか。
今回はコーヒーカップの種類について紹介していきます。
デミタスカップとエスプレッソカップの違い
デミタスカップ
デミタスはフランス語です。デミ(demi)=半分の、タス(tasse)=カップの名の通り、レギュラーカップの半分ほどの大きさです。
容量は60~90ml程度でソーサーが付いています。
日本の缶コーヒーでデミタス缶コーヒーと呼ばれるものがありますが、『レギュラーより少ない容量で高級志向』の意味合いでネーミングされているようです。
カップは厚手で、陶器や磁器(ボーンチャイナ含む)があり、白色から装飾されたものまで、さまざまなものがあります。
エスプレッソやトルココーヒー、ホットチョコレートやコース料理の最後の口直し用コーヒーなど、少量の濃いコーヒーなどを美味しく飲みたい時に用いられます。
ナポレオンが大陸封鎖令を発したことから砂糖やコーヒー豆が不足したことがきっかけで、苦肉の策としてコーヒーの分量を減らして出したことが始まりだそうです。
また、小さくてかわいらしい外観から、飲料用のカップ以外の目的で使う人もいます。ジャムや砂糖入れとして利用したり、ムースやゼリーなどのデザートカップとして、エアプランツなど観葉植物の鉢として、また、中で音がよく響くという事でスマートホン置きとして使われる例もあります。
エスプレッソカップ
エスプレッソはイタリア語で「急行列車」のことです。語源は2つの説があって、圧力をかけて素早く抽出することから名づけられたという説と、「あなただけのために」という意味を含ませているという説もあります。
本場イタリアではカフェと言うとエスプレッソの事を言い、一日に何度も飲まれています。日本では、スターバックスなどのシアトル系コーヒーショップの流行で、ポピュラーになりました。
イタリアでは食後に砂糖をたっぷりと入れて数口で飲み干すのが一般的ですが、日本ではカプチーノなどのミルク系のアレンジでの飲み方がポピュラーです。
エスプレッソカップはよくデミタスカップと混同されますが、デミタスカップがエスプレッソや少量のコーヒーを飲む時に用いられるのに対して、エスプレッソカップはエスプレッソを飲むときだけ使われます。
デミタスカップより小さく、容量は45~60ml(20~30mlのものもあります)程度で、ソーサーがついています。やはり厚手で白色の陶器や磁器(ボーンチャイナ含む)が多く、小さな取っ手がついています。この取っ手は穴の部分が非常に小さく、通常は取っ手をつまんで持ちます。
- 【デミタスカップとエスプレッソカップの違い】
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- 容量はエスプレッソカップよりデミタスカップの方が大きい
- エスプレッソカップはエスプレッソにしか使わないが、デミタスカップはエスプレッソ以外にも使われる
エスプレッソは、深煎りにして微細に挽いたエスプレッソローストと呼ばれるコーヒー豆に、エスプレッソマシンなどで圧力をかけて、短時間で抽出されるコーヒーのことで、コクや苦み、甘味や酸味のバランスが取れていて旨味も多く含まれています。
その豊かな風味や香りを逃さないように、また苦みを和らげるために飲み口は広くなく、丸みがある事によって口当たりもよくなります。そしてカップの下に向かうほどすぼまり、座が丸くふくらんだ形(エッグシェイプ)になっており、クレマ・ボディ・アロマがきれいに分かれやすくなっています。
苦みがあるため、砂糖を入れた時にかき混ぜやすいように、飲み口が広いタイプを選ぶ場合もあります。
- クレマ:エスプレッソの最上部、表面に出来る黄金色のクリーム状の泡の事
- ボディ:キャラメル色の中層、口に含んだ時のコクや深みを味わう部分
- アロマ:ダークブラウン色の最下層、香りがつまっている部分
他の種類のカップ
レギュラーカップ
一般的に使われているレギュラーカップは、容量が120~150mlのものが主流で、取っ手付きのカップにソーサーがついています。
喫茶店で提供されるコーヒーカップは、コーヒーサーバーの一杯分の目盛が120~130ml程度である事や、適量を冷める前においしく飲むために、このサイズを用いる事が多いです。
陶器や磁器、ガラス製などさまざまな材質のものがあり、飲み口の広いものや狭いもの、薄手のものや厚手のものなど、色々です。喫茶店などは店それぞれのコーヒーの味によって、カップの形状を決めている場合もあります。
例えば深煎りコーヒーの苦みとコクを味わいたいなら厚手で飲み口がまっすぐの形を。軽やかで酸味があるものなら薄手で飲み口の広いものなどと、飲みたい味によって変わります。
マグカップ
マグカップは和製英語で英語ではマグと呼ばれます。レギュラーカップより大きく、円筒形で通常はソーサーも使いません。
容量は200~250mlで取っ手もそれに応じて大きめです。スターバックスやドトールコーヒーなどで、ホットのレギュラーコーヒーを飲む時にも提供されます。レギュラーコーヒー・アメリカンコーヒー・カフェオレ・ホットミルク・スープ用にも用いられます。
陶器や磁器、ステンレス製やホーローのカップ、銅製などさまざまにありますが、最後まで温かく飲めるように、厚手のタイプが多いです。
アメリカなどではコーヒーを日本のお茶のように頻繁に飲むので、マグカップを使う事が多いです。手軽でカジュアルなため、日本でも自宅でよく用いられます。
カプチーノカップ
カプチーノやカフェラテなどのミルクを使うために設計されているのがカプチーノカップです。ミルクを使うなど抽出温度が低めのため、保温性を高めるために厚手のものが多いです。
また、ラテアートがしやすいように口が広いものや、カップにミルクを注いだ時にうまくカップ内でミルクの対流が起こるように曲線がデザインされています。
カフェオレボウル
カップのハンドル(持ち手)がなくお椀のような形をしたカップです。両手で包み込むように持ちます。フランスでパンをカフェオレにつけて食べていたので、口が広い形をしているといわれています。
容量は200~250mlと大きめのサイズが多いです。
最近では、容量が大きいものは、シリアルとミルクを入れて使う人もいるようです。持ち手がないので、普通のボウルとしても様々に使うことが可能です。
カップの厚みと形状・デザインの違い
コーヒーカップを選ぶ際には形状・デザインの違いの他にも、厚み重要です。
飲み口の厚いカップより薄いカップの方が、味がよりクリアに感じられます。ただし、厚手のカップは保温力が高いので、たっぷりの量をゆっくり飲みたいときに向いています。
次は、口が広いカップとどちらかというと口が狭いカップで比べてみます。口が広いカップは香りが広がりやすいのですが、反対に香りが拡散してしまい飛びやすいです。口が狭いカップは、香りが拡散せずに集中しやすく、香りをしっかりと長く感じられます。
まとめ
今まで何となくコーヒーカップを選んでいた方も、多めのコーヒーを最後まで温かいまま飲みたい、ぬるめのコーヒーが飲みたい、コクのあるコーヒーを少しだけ飲みたい、などケースバイケースで選ぶカップの種類を知っておくと便利です。
以上、デミタスカップとエスプレッソカップの違いとその他のカップの種類について紹介しました。